無感
2025-09-25
『異論はないよ。
始め給えよ』
オマエを壊したい、と言ったら、
オマエは、平気な顔でそう言った——。
舐めてる?
わけじゃない
瞳の奥の昏い色が
狂気よりも
深い
《無感》という絶望を
映していた
ガラクタ
2025-09-25
あるはずの
『尊厳』
がなかった
『権利』
もなかった
ただあったのは
支配と格付け
ヒエラルキーの
最下層にいた
愛犬《ルル》
君と同じとこに
格付けされた
愛情も憎しみもない
《感情》
がそもそもない
《命》だけが
虚しく輝く
ガラクタ
無題
2025-09-25
優しい言葉を
吐けばよかった
「会いたい」
だけで良かった
「好き」
とか、言えなかった
僕には不釣り合いだと思ったから
たから
だから
君は去ったんだね
わかるよ
わかってるよ
でも
心臓が血を流してる
もし
時が
もどるなら
夢想
2025-09-25
愛とか恋とか
正気なの?
そんなの
全部
思い込みだし
幻想だし
夢幻だ
なのに
貴方は私が好きだと
いうの?
ならば壊れて見せて
本物だと信じさせて
「命を、差し出せる?」
如何に私が残酷か
これで分かったでしょう?
愉悦を含んだ瞳で
嗤った
秘密の共犯者
2025-09-25
秘密の話をしよう
それは大それた話ではないけれど
君にも少し関係のある話だよ
あの日
雨の日
君と公園であったね
君は家で酷い暴力をふるわれて
あざだらけで
雨の中
ブランコを漕いでた
あまりに痛々しい姿に
僕は君に声をかけた
大人の男が怖かったんだろう
君は少し怯んだ
だから
僕は君に怖がられないように
そっと隣のブランコに腰をかけた
そして今日会社をクビになった話や
会社での三角関係なんかの話を
面白おかしく話したね
君もだんだん、話してくれるようになった
そして水曜日、6時にまたここで会おう
という約束をしたね
僕たちはだんだん仲良くなった
君は 父親も母親も嫌っていた
父親は酒をのんで暴力を振るうし
母親も君をいないもののように扱った
そう、言ったね
だから
だったら君は僕の子供になったらいい
そう言ったら君は寂しそうに笑って
そんなの無理だよ
と言った
その寂しそうな顔に 声に
僕のこころは酷く傷んだ
だって
僕にはもう 君は他人じゃなかったから
なぜかって?
君に会ったあの日
実は 僕は会社をクビになったりして
なかったんだ
本当はね
これは秘密にしておこうとおもったのだけど
あの日
一人息子が死んだんだ
交通事故だった
僕は現実がうけとめられず
この辺りを雨に打たれ
涙を流し
歩いていた
この公園のそのブランコに
息子はよく揺られていた
そこに傷だらけの君がいて
運命だと思った
だからね
この前 君と別れた後
君の後をこっそりつけた
君が家にたどり着いたとき
男のどなりごえがした
あれが父親か
確かにひどい
だからね
今日
君が家を出てから
中に父親と母親がいるのを確認して
家に火をつけた
ふたりはこれで死ぬだろう
君は解放された
さあ、僕の家に来て 一緒に住むかい?
それとも警察にいく?
……僕に ついてくるんだね
じゃあ
この話は一生の二人の秘密だ
守ってくれるかい?
息子の遺体は僕が埋めた
君は僕の息子になりすまして
海外に行けば
顔が違うのはごまかせる
いくかい?
……そう。じゅあ君はいまから僕の共犯者だ
お金は有り余るほどある
僕はIT企業の社長だから
スーパーマン?
違うよ
ただの犯罪者
ただ、君にお礼がしたかった
であってくれてありがとう
神様も
捨てたもんじゃないとおもったよ
あらためて
よろしく⸻僕の愛しい共犯者。
無題
2025-09-26
誰もいないから
誰もいないなら
誰もいらないなら
なにが君を満たしてくれるの?
夜空を見つめて
イヤホン
なんの曲が流れているかも
秘密なんだね
言葉をただiPhoneのメモ帳に綴る
ただ言葉と戯れるだけ
誰も読まない
感想もない
それでも君は、ただ言葉を綴る
人になにも求めない
それで本当に幸せな君
孤独なのは、むしろ
僕の方かもしれない
SNSをやって
LINEで談笑
必死に、『人』に嫌われないように
生きてる
顔色をうかがって
映える写真をUPして
食べることも後回し
写真の出来栄が全て
君が、たぶん、
羨ましくて
君みたいになりたくて
君と
友達になりたくて
いいや
多分
それは無理だね
君の世界を壊してしまう
僕も、イヤホンをだして
音楽をかける
流行りの、じゃなくて
聞いたこともない洋楽のプレリス
星を見上げる
詩なんて書いたことないなら
書き方がわからないよ
いろはにほへと
ちりぬるを
並べた言葉は熱を持たず
それでもきっと
いいんだ
だれもみないんだから
批判されないんだから
一抹の寂しさと引き換えに
僕は自由を手に入れた
さよなら、憧れ
2025-09-26
最後だから、いいでしょう?
君は浴衣姿でわざとはしゃいで見せた
綿飴を買って、風船をすくって
結い上げた髪で、露わになったうなじをながめた
君はひとりケラケラ笑っていた
その全てが哀れだった
俺のせい
俺が、君を愛せなかったせい
告白されて、頷いた
君は酷く喜んで、赤い目で笑った
俺は君を愛せなかったけど
ありがとう
君の笑顔は温かかった
春の日差しのようだった
それが眩しすぎて
俺は君を愛せたかった
ごめん
君は俺にはもったいない
朝露の光を心に閉じ込めたようなひと
どうか、幸せになって
俺以外のひとと
その言葉が
どれほど残酷か分かるから
言わないね
さよならの瞬間
君は唇をキュッと引き結んで
それから、笑った
朝露の笑顔で
俺は目を細め、その涙に見惚れた
ああ、愛せたら
よかった
もし
愛せてたら
今、抱きしめてあげられたのに
俺は俯いて
爪が食い込んで皮膚を裂くまで
強く、強く、拳を握った
さよなら、
憧れ
誰よりも幸せに
.
どうか、夢の中だけは
2025-09-26
ため息のように、そっと
僕の心に入り込んだ君を
もう2度と傷つけはしないと
強く誓った
なぜそんなにも
自我をもたない?
君は何がしたい?
なにもないんだね
壊れた人形
でも、誰かを愛する力だけはもってる
優しくて強くて優しい君
傷だらけなのに
なぜ微笑んでるの?
なぜ、そんなにも。
いいや、なんでもいいや
君がまだ誰かのために生きたいなら
生きたらいい
愛を注いで
気が済んだらここに帰っておいで
一緒に眠ろう
体温を分け合って
眠ろう
どうか、夢の中だけは、
君に優しい物語でありますように
.
無声恋歌
2025-09-26
優しい詩を
歌いたかった
だけど
唇からこぼれ落ちたのは
烏を締め殺したような
掠れた声の残骸
こんな声で
歌なんか歌えやしない
ましてや優しい歌なんか
呪詛しか
発せないならば
いっそこの喉を
切り取ってしまおう
そうして無声で
愛を語る
毒華喰らわば
2025-09-26
紅い曼珠沙華
碧い曼珠沙華
数えていこう
一本一本
香りに酔う
毒の香りだ
たとえ毒でも構わない
曼珠沙華を口に含んで
白い狐の面が嗤った
虹
2025-09-26
消えない虹があるのなら
それは多分君の才能
心の奥にある
その虹は
一生消えないよ
誰に否定されても
けなされても
その虹は君だけのもの
君の才能
君だけの
誰かと比べなくていい
だってそれは、君の生まれた意味だから
コトノハリウム
2025-09-26
コトノハ溢れる
君にひとつ
僕にひとつ
ポツリツリツリ
無言は天体
プラネタリウム
こんな無言が
気持ちいいなんて
コトノハ、また、溢れる
止まらないコトノハは
プラネタリウムの星みたいだね